2024年7月7日に行われた東京都知事選。
今回は、小池氏が優勢だとは伝えられていたものの、蓮舫氏、石丸氏の有力候補の存在もあり、最後まで結果が分かりませんでしたね。東京のみならず全国で話題になっています。
福岡県民の我が家も注目していました!
ところで、この東京都知事選、海外の反応はどのようなものだったのでしょう?
東京は、世界でも注目されている都市の一つ。きっとどこかに言及があることでしょう。
というわけで、英文サイトを調査してみました!
東京都知事選の記述があった英文サイト
Googleでの検索ワードは、「Tokyo governor(東京都知事)」、「Tokyo governor election(東京都知事選)」です。
また、得票数TOP3の、小池氏、石丸氏、蓮舫氏のローマ字名の検索も行なっております。
海外でどれくらい注目されているか知りたかったので、日本のニュースサイトの翻訳版と「The Japan Times」は除いて検索しました。
個人的には、「The Japan Times」大好きです。
上位30サイトを検索して、大きく取り上げられていた下記の4記事をピックアップします!
BBC
BBC(英国放送協会)は、イギリスの公共放送局。公営であり、広範なニュース、教育、エンターテイメントのコンテンツを提供しています。
日本におけるNHKのような立ち位置みたいですね!
BBCの記事では、小池氏がコロナウイルスや2021年に延期されたオリンピックを乗り越えてきたことに言及しています。男性中心社会の日本政治で、小池氏の再選は「one of the most powerful women」となったことが示されています。また、当初は小池氏と蓮舫氏の一騎打ちになると予想されていたものの、予想に反して石丸氏が2位となった選挙戦の様子も記述されていました。
Voice of America
Voice of America (VOA) は、アメリカ合衆国政府が運営する国際放送サービスです。現在では、ニュース、情報、教育番組を140以上の言語で放送し、全世界に向けて提供しています。アメリカ国内での認知度は限定的なようですが、国際ニュースに詳しい人なら知っている報道機関です。
この記事はフランスの報道機関AFPから引用されているとのことです。
内容は、小池氏の3期目の再選、選挙戦の概要が中心です。加えて、日本は世界第10位の人口、世界第5位の経済力にもかかわらず女性の総理大臣が出たことがなく、国会議員の過半数も男性で占められていることに触れられています。また、56人の候補者のうち、大半は真剣ではなく、ジョーカーの格好をして一夫多妻制を主張した候補者もいたことにも言及がありました。
多様性あふれすぎる候補者のこと、海外ニュースで言及されると恥ずかしい気もします…
Arabnews Japan
Arabnewsは、サウジアラビア初の英語ニュース。2019年の天皇陛下即位礼「正殿の儀」の日(10月22日)前、日本語版のArabnews Japanが公開されました。Arabnews Japanは、英語と日本語でサウジアラビアと中東、日本におけるニュースを取り扱っています。
ちなみにArabnews Japanの公開記者会見は当時も現職だった小池氏がアラブ語でスピーチ。カイロ大学を首席で卒業したかどうかは議論があるようですが、中東に縁のある人物であることは間違いありません。
小池都知事の再選をかけた選挙はArabnewsにとって注目だったかもしれませんね。
当記事は、選挙戦に勝利した小池氏の言葉が紹介されています。円安による物価高の対応や「チルドレンファースト」を目指すための出生率低下対策やDXについて触れられています。また、不支持率の高い岸田首相や自民党にとって良い結果となったことも言及されています。
The Economist
The Economistは、イギリスを拠点とする国際的な週刊新聞であり、経済、政治、社会問題に関する深い分析記事で知られています。1843年に創刊され、長い歴史を持つメディアです。
米国の書籍情報サイト「Gale(https://www.gale.com/jp)では、The Economistについて次のような説明がされています。
The Economist はまさに自由貿易の申し子であり、以後今日に至るまで一貫して自由貿易推進の論陣を張り続けています。自由貿易に加え、自由な人の移動、政府の規制の撤廃、死刑の廃止などが、一貫した社論です。一般的に新聞には世論を気にする傾向がありますが、The Economist は世論に不人気な主張を掲げることにも躊躇しません。その意味では、ブレのない雑誌と言えます。
Economistってどんな雑誌ですか?/https://www.gale.com/jp/archives-explored/economist
世論に忖度しない姿勢が、180年続いているのですね。
The Economistは主に石丸氏がソーシャルメディアを駆使した選挙戦について取り上げています。なんと選挙開票速報日にメディアを「mock」、つまり、「おちょくったこと」や次は岸田首相の選挙区に出る選択肢があることにも言及されています。
よくみていらっしゃる….
ソーシャルメディアの「populist」(=大衆迎合主義者、ネガティブな文脈で使われることが多い)と書かれていますが、内容が特に批判的なようには見えませんでした。特に若者の投票率の低い日本で、石丸氏の存在が大きかったことが示されています。、
単語案内
記事中に頻出した単語や気になった単語を記します。
今回の知事選だけではなく、今後の政治系の記事読解に役立ちそうな単語をまとめました。
いろいろお役立てください!
選挙関連
単語 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
governor | 知事 | The governor announced new measures to improve public safety. (知事は公共の安全を改善するための新しい対策を発表しました。) |
landslide | 選挙での圧勝 | The candidate won the election by a landslide, securing over 70% of the vote. (その候補者は圧勝で選挙に勝ち、70%以上の票を獲得しました。) |
vie | 争う | Several candidates are vying for the position of mayor in the upcoming election. (複数の候補者が次期選挙で市長の座を争っています。) |
turnout | (選挙の)投票率 | The voter turnout this year was higher than in previous elections. (今年の投票率は過去の選挙よりも高かったです。) |
incumbent | 現職の | The incumbent senator is facing a tough re-election campaign. (現職の上院議員は厳しい再選キャンペーンに直面しています。) |
populism | 大衆迎合主義 | Populism has been on the rise in many countries around the world. (世界中の多くの国で大衆迎合主義が台頭しています。) |
head-to-head | 接戦で、わずかの差で | The two candidates are running head-to-head in the polls, making it a very close race. (二人の候補者は接戦で、非常に僅差のレースになっています。) |
政党・政治関連
単語 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
LDP (Liberal Democratic Party of Japan) | 自由民主党 | The LDP has been a dominant political force in Japan for decades. (自由民主党は数十年にわたり日本の支配的な政治勢力です。) |
CDPJ (Constitutional Democratic Party of Japan) | 立憲民主党 | The CDPJ aims to uphold democratic principles and constitutional values. (立憲民主党は民主主義の原則と憲法の価値を守ることを目指しています。) |
Upper House | 上院(参議院) | The Upper House reviewed the new legislation proposed by the government. (上院は政府が提案した新しい法律を審査しました。) |
Lower House | 下院(衆議院) | The bill was passed by the Lower House and is now awaiting approval from the Upper House. (法案は下院を通過し、現在は上院の承認を待っています。) |
legislator | 議員 | The legislator introduced a new bill to address climate change. (議員は気候変動に対処するための新しい法案を提出しました。) |
parliament | 国会、議会 | The parliament convened to discuss the national budget. (国会は国家予算について議論するために招集されました。) |
その他 面白い表現
- anything but:〜からは程遠い
butは、「〜以外」という意味で使われます。「〜以外の何でも」という意味から転じて「〜からは程遠い」、つまり否定です。
例:I thought he was kind, but he was anything but that. : 私は彼が親切な人だと思ったが、決してそうではなかった。
- clear out power-hungry politicians:政治屋の一掃
石丸氏の掲げる「政治屋の一掃」をThe Economistでは「clear out power-hungry politicians」と表現していました。
- weather〜:〜を乗り切る
天気でお馴染み「weather」ですが、「(嵐などの困難を)乗り切る」という動詞の意味もあります。
BBCの記事で小池氏が物議を醸した公共事業や経歴詐称問題を乗り切った文脈で使われていました。
おわりに
今回の都知事選まで私は政治に興味を持っておりませんでしたが、石丸氏をきっかけに、政治についていろいろ調べてみることに。
かといって熱烈な石丸氏支持ではなく、彼に対する報道を通じ「メディアの切り抜きではなく、一次情報にあたる」ことの大切さを学びました。
今回、都知事選に関する海外の記事を調べて、意外と海外メディア取り上げられてなかったという寂しさがありました。ただ、当選はしていないにもかかわらず、2位の石丸氏の躍進を取り上げている記事があることには驚きました。
若い無所属の候補が、SNSを活用して選挙を動かした。その事実が、民主主義のあり方として新しく、どこの国にも起こりうることだと考えられたのではないでしょうか。
英語学習という観点でも、この記事リサーチは大変有意義でした。
1つのテーマでいくつもの記事を読むことで、同じ語彙が反復して登場するため、表現が自然に身につきます。選挙や政治に関する表現も覚えることができました。
興味のあるテーマを複数の記事で読むことは、今後も続けていきたいと思います!
ここまで読んでいただきありがとうございます。他の記事もよかったら読んでいってもらえると嬉しいです。
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